[スポンサーリンク]

C

チャン・ラム・エヴァンス カップリング Chan-Lam-Evans Coupling

[スポンサーリンク]

 

概要

アニリン・チオフェノール・フェノール類とアリールボロン酸のクロスカップリング反応。銅が反応を促進させる。Goldberg反応Buchwald-Hartwig反応ではアリールハライドを用いるが、その代わりにボロン酸を用いる反応である。

入手容易な試薬を用い、室温で混ぜるだけで進行する。簡便な反応である。

しかしながら一般に反応は遅く、完結には24-72時間ほどを要する。

基本文献

 

開発の歴史

1998年当時DuPontの研究者Dominic Chan, Patric Lamと米国ハーバード大のDavid Evansによって独立して報告された。

lam_clip_image002

Patric Lam

 

反応機構

反応は、空気中の酸素が銅を再酸化しながら進行する(King, A. E.; Ryland, B. L.; Brunold, T. C.; Stahl, S. S. Organometallics, 2012, 31, 7948. DOI: 10.1021/om300586p )。

2014-09-22_16-35-48

反応例

ボロン酸の代わりにボロネートやボレート[1]、シロキサン[2]を用いても反応は進行する。

 

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

※不活性雰囲気下では上手く進行しない。
※溶存酸素量によって進行度がことなるので、攪拌効率によって収率に差が出る。

※酸素雰囲気下で反応を行うため、不活性雰囲気下で行うカップリング反応とは対照的な結果が得られる際もある。

 

参考文献

  1. (a) Chan, D.; Monaco, K. L.; Li, R.; Bonne, D.; Clark, C. G. Tetrahedron Lett. 2003. 44, 3863. DOI: 10.1016/S0040-4039(03)00739-1 (b) Yu, X.-Q.; Yamamoto, Y.; Miyaura, N. Chemistry, an Asian J. 2008, 3, 1517. DOI: 10.1002/asia.200800135
  2. Lam, P. Y. S.; Deudon, S.; Averill, K. M.; Li, R.; He, M. Y.; DeShong, P.; Clark, C. G. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 7600. DOI: 10.1021/ja001305g

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. ノッシェル・ハウザー塩基 Knochel-Hauser Base…
  2. 光延反応 Mitsunobu Reaction
  3. ダルツェンス縮合反応 Darzens Condensation
  4. バージェス試薬 Burgess Reagent
  5. 芳香族メチルの酸化 Oxidation of Methyl Gr…
  6. スナップ試薬 SnAP Reagent
  7. パーキン反応 Perkin Reaction
  8. ボーディペプチド合成 Bode Peptide Synthesi…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 日本で発展する化学向けAIと量子コンピューターテクノロジー
  2. Callipeltosideの全合成と構造訂正
  3. 超強塩基触媒によるスチレンのアルコール付加反応
  4. まんがサイエンス
  5. ジョン・ケンドリュー John C. Kendrew
  6. 第132回―「遷移金属触媒における超分子的アプローチ」Joost Reek教授
  7. 塩谷光彦 Mitsuhiko Shionoya
  8. 人工軟骨への応用を目指した「ダブルネットワークゲル」
  9. SDFって何?~化合物の表記法~
  10. 環境ストレスに応答する植物ホルモン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー