概要
アニリン・チオフェノール・フェノール類とアリールボロン酸のクロスカップリング反応。銅が反応を促進させる。Goldberg反応やBuchwald-Hartwig反応ではアリールハライドを用いるが、その代わりにボロン酸を用いる反応である。
入手容易な試薬を用い、室温で混ぜるだけで進行する。簡便な反応である。
しかしながら一般に反応は遅く、完結には24-72時間ほどを要する。
基本文献
- Chan, D. M. T.; Monaco, K. L.; Wang, R.-P.; Winteres, M. P. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 2933. doi:10.1016/S0040-4039(98)00503-6
- Evans, D. A.; Katz, J. L.; West, T. R. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 2937. doi:10.1016/S0040-4039(98)00502-4
- Lam, P. Y. S.; Clark, C. G.; Saubern, S.; Adams, J.; Winters, M. P.; Chan, D. M. T.; Combs, A. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 2941. doi:10.1016/S0040-4039(98)00504-8
- Ley, S. V.; Thomas, A. W. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 5400. doi:10.1002/anie.200300594
開発の歴史
1998年当時DuPontの研究者Dominic Chan, Patric Lamと米国ハーバード大のDavid Evansによって独立して報告された。
反応機構
反応は、空気中の酸素が銅を再酸化しながら進行する(King, A. E.; Ryland, B. L.; Brunold, T. C.; Stahl, S. S. Organometallics, 2012, 31, 7948. DOI: 10.1021/om300586p )。
反応例
ボロン酸の代わりにボロネートやボレート[1]、シロキサン[2]を用いても反応は進行する。
実験手順
実験のコツ・テクニック
※不活性雰囲気下では上手く進行しない。
※溶存酸素量によって進行度がことなるので、攪拌効率によって収率に差が出る。
※酸素雰囲気下で反応を行うため、不活性雰囲気下で行うカップリング反応とは対照的な結果が得られる際もある。
参考文献
- (a) Chan, D.; Monaco, K. L.; Li, R.; Bonne, D.; Clark, C. G. Tetrahedron Lett. 2003. 44, 3863. DOI: 10.1016/S0040-4039(03)00739-1 (b) Yu, X.-Q.; Yamamoto, Y.; Miyaura, N. Chemistry, an Asian J. 2008, 3, 1517. DOI: 10.1002/asia.200800135
- Lam, P. Y. S.; Deudon, S.; Averill, K. M.; Li, R.; He, M. Y.; DeShong, P.; Clark, C. G. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 7600. DOI: 10.1021/ja001305g
関連反応
- リーベスカインド・スローグル クロスカップリング Liebeskind-Srogl Cross Coupling
- ウルマンエーテル合成 Ullmann Ether Synthesis
- ゴールドバーグ アミノ化反応 Goldberg Amination
- ウルマンカップリング Ullmann Coupling
- バックワルド・ハートウィグ クロスカップリング Buchwald-Hartwig Cross Coupling
関連書籍
外部リンク
- Chan-Lam Coupling (organic-chemistry.org)