[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

ストーク エナミン Stork Enamine

[スポンサーリンク]

概要

  • アルデヒドもしくはケトンと第2級アミンを脱水縮合させるとエナミンが生成する。
  • エナミンはアルキルハライド、アシルハライド、Michealアクセプターなどの求電子剤と反応する。引き続いて加水分解を行うことで、α-置換ケトンが得られる。
  • 「塩基によるエノラート生成→α-アルキル化」という反応形式に比して、エノラートの位置選択性制御、多置換体の抑制、穏和な条件で反応が進行、キラル補助基を用いる不斉合成が可能などのメリットがある。

基本文献

  • Stork, G.; Terrel, R.; Szmuszkovicz, J. J. Am. Chem. Soc. 1954, 76, 2029. DOI: 10.1021/ja01636a103
  • Stork, G.; Landesman, H. J. Am. Chem. Soc. 195678, 5128. DOI: 10.1021/ja01600a087
  • Stork, G.; Brizzolara, A.; Landesman, H.; Szmuszkovics, J.; Terrell, R. J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 207. DOI: 10.1021/ja00885a021

Review

反応機構

n-on-122.gif

反応例

  • メタロエナミン:イミンのα位プロトンを強塩基により引き抜くとメタロエナミンが生成する。これは通常のエナミンに比べ反応性に富む。[1] enamine_3.gif
  • アミン部をキラルなものにすれば、不斉アルキル化も可能である。Endersらによって開発されたキラル補助基SAMP[2]は特に有名である。
    enamine_4.gif
  • 中村らはメタロエナミンの化学をさらに発展させ、単純オレフィンへの付加[3]や、低反応性のアルキルクロライド・アルキルフルオライドを用いたアルキル化[4]の開発にも成功している。
    enamine_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

  1. Stork, G.; Dowd, S. J. Am. Chem. Soc. 196385, 2178. doi:10.1021/ja00897a040
  2. (a) Enders, D.; Eichenauer, H. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1976, 15, 549. doi:10.1002/anie.197605492 (b) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1979, 18, 397. doi:10.1002/anie.197903971 (c) Enders, D.; Eichenauer, H.; Baus, U.; Shubert, J.; Kremer, K. A. H. Tetrahedron 1984, 40, 1345. doi:10.1016/S0040-4020(01)82420-0  (d) Enders, D.; Fey, P.; Kipphardt, H. Org. Synth. 198765, 173. (e) Enders, D.; Wortmann, L.; Peters, R. Acc. Chem. Res. 2000, 33, 157. DOI: 10.1021/ar990062y 
  3. (a) Nakamura, M.; Hatakeyama, T.; Hara, K.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 6362. DOI: 10.1021/ja035091p (b) Nakamura, M.; Hatakeyama, T.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 11820. DOI: 10.1021/ja0465193 (c) Nakamura, M.; Hatakeyama, T.; Hara, K.; Fukudome, H.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 14344. DOI:
  4. 10.1021/ja044878s Hatakeyama, T.; Ito, S.; Nakamura, M.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 14192. DOI: 10.1021/ja055306q

関連反応

関連書籍

[amazonjs asin=”0471933392″ locale=”JP” title=”The Chemistry of Enamines, 2 Volume Set (Patai’s Chemistry of Functional Groups)”][amazonjs asin=”0521086760″ locale=”JP” title=”The Chemistry of Enamines (Cambridge Texts in Chemistry and Biochemistry)”]

外部リンク

関連記事

  1. エッシェンモーザー・タナベ開裂反応 Eschenmoser-Ta…
  2. フィッシャー オキサゾール合成 Fischer Oxazole …
  3. マーデルング インドール合成 Madelung Indole S…
  4. ヒンスバーグ チオフェン合成 Hinsberg Thiophen…
  5. ペタシス試薬 Petasis Reagent
  6. ベンジルオキシカルボニル保護基 Cbz(Z) Protectin…
  7. シュミット グリコシル化反応 Schmidt Glycosyla…
  8. 福山インドール合成 Fukuyama Indole Synthe…

注目情報

ピックアップ記事

  1. トヨタ、世界初「省ネオジム耐熱磁石」開発
  2. 代表的有機半導体の単結晶化に成功 東北大グループ
  3. ヘテロ環、光当てたら、減ってる環
  4. クラーク・スティル W. Clark Still
  5. 原子間力顕微鏡 Atomic Force Microscope (AFM)
  6. 芳香族性に関する新概念と近赤外吸収制御への応用
  7. ジャン=マリー・レーン Jean-Marie Lehn
  8. 思わぬ伏兵・豚インフルエンザ
  9. 塩野義 抗インフルエンザ薬製造・販売の承認を取得
  10. エッシェンモーザーカップリング Eschenmoser Coupling

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー