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ミズロウ・エヴァンス転位 Mislow-Evans Rearrangement

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概要

アリルスルホキシドが熱的条件により転位を起こし、アリルスルフェナートとの平衡状態になる。本現象がMislowらによって発見された後、スルフェナートを捕捉するリン試薬などを添加することでアリルアルコールを合成できることがEvansらにより見出され、合成手法としての可能性が示された。
スルホキシドのα-プロトンは酸性度が高く、LDAなどの強塩基により脱プロトン化できる。アニオンを求電子剤と反応させてMislow-Evans転位を行うと置換アリルアルコールが合成できる。

mislow_evans_2.gif

基本文献

 

反応機構

転位は[2,3]-sigmatropic機構で進行する。立体特異的に進行し、不斉点を持つスルホキシドの場合にはキラル転写が観測される。(参考:J.
Org. Chem.
1995,
60, 6682
.)
mislow_evans_3.gif

反応例

平衡条件転位による立体異性化を、逆に上手く活用してやることが合成に用いる上でのポイントとなる。[1] mislow_evans_4.gif
Asteltoxinの合成[2] mislow_evans_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Majetich, G. et al. J. Org. Chem. 199156, 3973.DOI: 10.1021/jo00012a035

[2] Schreiber, S. L.; Hoveyda, A. H. J. Am. Chem. Soc. 1984106, 7200.DOI: 10.1021/ja00335a056

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

 

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