[スポンサーリンク]

H

ハリース オゾン分解 Harries Ozonolysis

[スポンサーリンク]

概要

アルケンをオゾンによって開裂させ、カルボニル化合物へと変換する方法。

ジクロロメタン、メタノールなどに溶解した基質に、酸素ガスの無声放電によって発生させたオゾンガスを吹き込むことによって反応を行う。プロトン性溶媒で行うと反応は加速される傾向にある。ほぼ中性条件で反応を進行させられる。

生成したオゾニドを後処理で分解して目的物を得る。亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類などの還元剤で処理するとアルデヒドやケトンが得られる。過酸化水素などで酸化的処理を行うとカルボン酸になる。水素化ホウ素ナトリウムで直接アルコールにまで導くこともある。

基本文献

  • Harries, C. Ann. 1905,343, 31.
  • Bailey, P. S. Chem. Rev. 1958, 58, 925. DOI: 10.1021/cr50023a005

反応機構

モルオゾニド→オゾニドCriegeeメカニズム。この反応機構は17Oラベルによって明らかにされている。
(参考:Angew. Chem. Int. Ed,. 1975, 87, 745.Eur. J. Org. Chem. 1998, 1625.)
ozonolysis_2.gif

反応例

例[1] シリカゲル共存化オゾン分解を行うと三級アルコールが合成できる。 低温でのオゾン吸着能が高いためである。同様にアミンからニトロ化合物を合成することも出来る。
ozonolysis_4.gif
立体的に込み入った多置換オレフィンは反応が遅い。
ozonolysis_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

オゾンが飽和すると溶液が青く着色するため、これで反応の終点が分かる。
※オゾンには毒性があるので、反応は必ずドラフト内で行うこと。
※中間体として生成するオゾニドは爆発性であり、取り扱いに注意が必要。固体状態では特に不安定である。

参考文献

  1. Liu,Z.; Zhang, T. et.al. Tetrahedron Lett. 200142, 275. doi:10.1016/S0040-4039(00)01873-6

関連反応

関連書籍

 

外部リンク

ディスカッション

関連記事

  1. ピニック(クラウス)酸化 Pinnick(Kraus) Oxid…
  2. 原子移動ラジカル重合 Atom Transfer Radical…
  3. チオール-エン反応 Thiol-ene Reaction
  4. 不斉ストレッカー反応 Asymmetric Strecker R…
  5. スワーン酸化 Swern Oxidation
  6. ガーナーアルデヒド Garner’s Aldehyd…
  7. ヘテロ ディールス・アルダー反応 Hetero Diels-Al…
  8. ブルック転位 Brook Rearrangement

注目情報

ピックアップ記事

  1. 被ばく少ない造影剤開発 PETがん診断に応用へ
  2. 2023年から始めるマテリアルズ・インフォマティクスの進め方 〜<期間限定>MIスターティングパッケージ企画もご紹介〜
  3. ホウ素ーホウ素三重結合を評価する
  4. Communications Chemistry創刊!:ネイチャー・リサーチ提供の新しい化学ジャーナル
  5. 化学のブレークスルー【有機化学編】
  6. 3Mとはどんな会社? 2021年版
  7. マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-
  8. マイクロリアクター徹底活用セミナー【終了】
  9. 薬学会一般シンポジウム『異分野融合で切り込む!膜タンパク質の世界』
  10. 「カルピス」みらいのミュージアム

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP