概要
無水酢酸をDMSOの活性化剤として用いる酸化反応。室温で進行するが、反応時間は長め(12-24h)。
とりわけ立体的に混み合っている位置の酸化に有用である。
基本文献
- Albright, J. D.; Goldman, L. J. Am. Chem. Soc. 1965, 87, 4214. DOI: 10.1021/ja01096a055
- Albright, J. D.; Goldman, L. J. Am. Chem. Soc. 1967, 89, 2416. DOI: 10.1021/ja00986a031
<Review>
- Tidwell, T. T. Synthesis 1990, 857. DOI: 10.1055/s-1990-27036
開発の歴史
1963年、弱酸存在下アルコールにDMSOとDCCを作用させると酸化反応が進行し対応するアルデヒド、ケトンが得られる得られることをMoffattとPfiltznerらが報告した (Pfitzner-Moffatt Oxidation)。この酸化反応は第1級アルコールを用いても過剰酸化が進行せずアルデヒドが得られるため注目された。
1965年、MoffattとAlbrightらは同時にその反応機構を提唱。無水酢酸や五酸化二リンがDCCと同様、DMSOの活性化剤として活用可能であることがAlbrightら・Onoderaらによって同年見出されている。無水酢酸を用いる手法は開発者の名前を冠し、Albright-Goldman Oxidationと呼ばれている。
1967年にはDoeringとParikhらがSO3-Py錯体をDMSO活性化剤として用いる手法(Parikh-Doering Oxidation)を、1976年および1978年にはSwernらがトリフルオロ酢酸無水物およびオキサリルクロリドをDMSO活性化剤として用いる方法を報告している。このオキサリルクロリド法が、現在最も広く使われるSwern酸化反応である。
反応機構
基本的な部分はSwern酸化と変わりない。
反応例
例[1]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
[1] Broka, C. A.; Gerlits, J. F. J. Org. Chem. 1988, 53, 2144. DOI: 10.1021/jo00245a002
関連反応
- コーンブルム酸化 Kornblum Oxidation
- 植村酸化 Uemura Oxidation
- オッペナウアー酸化 Oppenauer Oxidation
- パリック・デーリング酸化 Parikh-Doering Oxidation
- フィッツナー・モファット酸化 Pfitzner-Moffatt Oxidation
- コーリー・キム酸化 Corey-Kim Oxidation
- 向山酸化 Mukaiyama Oxidation
- PCC/PDC酸化 PCC/PDC Oxidation
- TEMPO酸化 TEMPO Oxidation
- TPAP(レイ・グリフィス)酸化 TPAP (Ley-Griffith)Oxidation
- デス・マーチン酸化 Dess-Martin Oxidation
- スワーン酸化 Swern Oxidation