[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

二酸化セレン Selenium Dioxide

[スポンサーリンク]

 

概要

二酸化セレンは、アリル位C-Hを酸化し、アリルアルコールを与える。有毒な試薬であるが、他では実現しづらい変換であり、条件も温和なためしばしば用いられる。
再酸化剤としてt-ブチルハイドロパーオキシド(TBHP)などを用いることで、セレンを触媒量に減ずることが可能である。

基本文献

  • Riley, H. L.; Morley, J. F.; Friend, N. A .C. J. Chem. Soc. 1932, 1875.
  • Rabjohn, N. Org. React. 1949, 5, 331.
  • Rabjohn, N. Org. React. 1976, 24, 261.
  • Bulman Page, P. C.; McCarthy, T. J. Comprehensive Organic Synthesis 1991,7, 84, 108.

 

反応機構

エン反応→[2,3]シグマトロピー転位を経て進行する。(参考:J. Org. Chem. 200065, 7554., Tetrahedron Lett. 200344, 1099.)
SeO2_2.gif

反応例

Vinblastinの合成[1] SeO2_3.gif
Resiniferatoxinの合成[2] SeO2_4.gif
Tetrodotoxinの合成[3]:PhSeSePh,/PhIO2/Py条件(Barton変法)[4]はエノンまで酸化を起こす。
SeO2_6.gif
カルボニルα位は二酸化セレンによって酸化を受け、条件に依って種々の生成物を与える。
SeO2_5.gif

実験手順

ゲラニルスルホンを基質としたアリル位酸化[5] SeO2_7.gif

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Fukuyama,T. et al. J. Am. Chem. Soc. 2002124, 2137. DOI: 10.1021/ja0177049

[2] Wender, P. A. et al. J. Am. Chem. Soc. 1997119, 12976. DOI: 10.1021/ja972279y

[3] Hinman, A.; Du Bois, J. J. Am. Chem. Soc. 2003125, 11510. DOI: 10.1021/ja0368305

[4] Barton, D. H. R.; Crich, D. Tetrahedron 198541, 4395. doi:10.1016/S0040-4020(01)97207-2

[5] Marshall, J. A.; Andrews, R. C. J. Org. Chem. 198550, 1602. DOI: 10.1021/jo00210a009

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. ジムロート転位 (共役 1,3-双極子開環体経由) Dimrot…
  2. 庄野酸化 Shono Oxidation
  3. デーヴィス酸化 Davis Oxidation
  4. ウルマンカップリング Ullmann Coupling
  5. 有機銅アート試薬 Organocuprate
  6. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide…
  7. メチオニン選択的タンパク質修飾反応 Met-Selective …
  8. クラプコ脱炭酸 Krapcho Decarboxylation

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学で「透明人間」になれますか? 人類の夢をかなえる最新研究15
  2. 最後に残ったストリゴラクトン
  3. 医薬品の黄金世代到来?
  4. エドウィン・サザン Edwin M. Southern
  5. ポール・アリヴィサトス Paul Alivisatos
  6. 地球温暖化-世界の科学者の総意は?
  7. チャオ=ジュン・リー Chao-Jun Li
  8. 材料開発の未来を語る、マテリアルズ・インフォマティクスに特化したカンファレンスが9/26(火)開催!
  9. 科博特別展「日本を変えた千の技術博」にいってきました
  10. 第5回慶應有機化学若手シンポジウム

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP