ハロゲン化合物→芳香族化合物、アルカン、アルケン
概要
- アリールハライド・アリールトリフラートとGrignard試薬間の、ニッケルもしくはパラジウム触媒によるクロスカップリング反応。
- sp2炭素-炭素結合形成反応、いわゆる”クロスカップリング反応”の先駆けであり、実用・学術両面におけるマイルストーンとなった反応。
- 操作も簡便であり、安価なニッケルを用いることが出来るため実用性は高い。一方パラジウム触媒のほうは穏和な反応性を示すため、化学選択性により優れる傾向にある。
- ただし、当然のことながらGrignard試薬と反応してしまう、活性官能基を持つ化合物には適用できない。
- 亜鉛とのトランスメタル化により低反応性の有機亜鉛試薬にする(根岸カップリング)、もしくはNi・Pdの代わりにFe(III)触媒を用いる(Kochi-Fustnerカップリング)ことで解決できる場合もある。
基本文献
- Tamao, K.; Sumitani, K.; Kumada, M. J. Am. Chem. Soc. 1972, 94, 4374. DOI: 10.1021/ja00767a075
- Corriu, R. J. P.; Massse, J. P. J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1972, 144. DOI: 10.1039/C3972000144a
- Yamamura, M.; Moritani, I.; Murahashi, S. J. Organomet. Chem. 1975, 91, C39. DOI: 10.1016/S0022-328X(00)89636-9
- Tamao, K.; Kumada, M. et al. Bull, Chem. Soc. Jpn. 1976. 49, 1958. doi:10.1246/bcsj.49.1958
反応機構
Grignard試薬のHomocouplingにより0価のNiもしくはPdがまず生成する。アリールハライドがそれに酸化的付加する。引き続きGrignard試薬とのトランスメタル化→還元的脱離を経て、触媒サイクルが完結する。
反応例
- 不斉熊田カップリングの例[1]
- マグネシウムアート錯体を用いる官能基受容型熊田カップリング[2]
- アリールフルオライドを基質とする熊田カップリング[3]
実験手順
実験のコツ・テクニック
参考文献
- Hayashi, T.; Hayashizaki, K.; Kiyoi, T.; Ito, Y. J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 8153. DOI: 10.1021/ja00232a030
- Martin, R.; Buchwald, S. L. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 3844. doi:10.1021/ja070830d
- Yoshikai, N.; Mashima, H.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 17978. DOI: 10.1021/ja056327n
関連書籍
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外部リンク
- 有機って面白いよね!!「パラジウムと有機合成」
- Kumada Coupling (organic-chemistry.org)
- KUMADA-COUPLING (ACROS; PDF)
- カップリング反応 (Wikipedia日本)
- 熊田・玉尾・コリューカップリング (Wikipedia日本)
- 熊田誠 (Wikipedia日本)
- Makoto Kumada (Wikipedia)
- Kumada Coupling (Wikipedia)
- Transition Metal Catalyzed Cross Coupling Reactions of Unactivated Alkylhalide (PDF)