[スポンサーリンク]

B

ベンゾイン縮合反応 Benzoin Condensation

[スポンサーリンク]

 

概要

二当量の芳香族アルデヒドが、シアニド源などの求核触媒存在下に縮合し、ベンゾイン誘導体を与える反応。ベンゾインは、デオキシベンゾイン、ベンジル、ヒドロベンゾイン、エンジール、スチルベン、ジフェニルエチルアミン、アミノアルコール、イソキノリンの合成中間体として重要な化合物である。

ある種のベンゾインはケト型とエノール型の異性化が速い。非対称ベンゾインは、より安定なベンゾインのほうに異性化する(エンジオール転位)。また、非対称ベンゾインを合成するには、芳香族アルデヒドをシアノシリル化した後、強塩基で処理し、異なる芳香族アルデヒドを反応させれば良い(下図)。

benzoin_5.gif

シアニドの他にイミダゾリウム・チアゾリウム塩を脱プロトン化して生成されるN-Heterocyclic
Carbene(NHC)
も触媒として活性であることが報告されている。これを利用した不斉ベンゾイン縮合も報告されている。

基本文献

  • Lapworth, A. J. J. Chem. Soc. 1903, 83, 995.
  • Lapworth, A. J. J. Chem. Soc. 1904, 85, 1206.
  • Staudinger, H. Ber. 1913, 46, 3530, 3535.
  • Ide, W. S.; Buck, J. S. Org. React. 19484, 269.
  • Hassner, A.; Rai, K. M. L. Comp. Org. Syn. 19911, 541.

 

反応機構

求核側のアルデヒドは触媒により極性転換され、アシルアニオン等価体として働く。シアニド・N-Heterocyclic Carbeneともに、触媒α位のアニオンを安定化できる特性を考慮することがポイントである。

シアニド触媒

ar-ol-11.gif

N-Heterocyclic Carbene触媒

benzoin_3.gif

反応例

Sila-benzoin縮合[1]Brook転位と組み合わせることで通常ホモ縮合であるベンゾイン縮合を交差反応へと展開させている。キラルメタロホスフェート触媒を用いることで不斉化にも成功している[1c]
benzoin_4.gif
チアゾリニウム塩から生成するNHCを触媒として用いれば、脂肪族アルデヒドへも適用することが可能。[2] benzoin_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] (a) Linghu, X.; Johnson, J. S. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 2534. doi:10.1002/anie.200250554 (b) Linghu, S.; Bausch, C. C.; Johnson, J. S. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 1833. DOI: 10.1021/ja044086y (c) Linghu, X.; Potnick, J. R.; Johnson, J. S. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3070. DOI: 10.1021/ja0496468

[2] Stetter, H.; Kuhlmann, H. Org. Synth. 198462, 170.[PDF]

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3527315225″ locale=”JP” title=”Enantioselective Organocatalysis: Reactions and Experimental Procedures”][amazonjs asin=”3527305173″ locale=”JP” title=”Asymmetric Organocatalysis: From Biomimetic Concepts to Applications in Asymmetric Synthesis”][amazonjs asin=”4882319136″ locale=”JP” title=”有機分子触媒の新展開 (CMC Books)”]

外部リンク

関連記事

  1. ワイス反応 Weiss Reaction
  2. 野依不斉水素化反応 Noyori Asymmetric Hydr…
  3. コーリー・ニコラウ マクロラクトン化 Corey-Nicolao…
  4. ガブリエルアミン合成 Gabriel Amine Synthes…
  5. ダンハイザー シクロペンテン合成 Danheiser Cyclo…
  6. 細見・櫻井アリル化反応 Hosomi-Sakurai Allyl…
  7. MSH試薬 MSH reagent
  8. ジオキシラン酸化 Oxidation with Dioxiran…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 95%以上が水の素材:アクアマテリアル
  2. varietyの使い方
  3. 人を器用にするDNAーナノ化学研究より
  4. 萩反射炉
  5. クノール キノリン合成 Knorr Quinoline Synthesis
  6. 第六回ケムステVプレミアレクチャー「有機イオン対の分子設計に基づく触媒機能の創出」
  7. as well asの使い方
  8. マックス・プランク Max Planck
  9. アルミに関する一騒動 ~約20年前の出来事~
  10. 「オプジーボ」の特許とおカネ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観測

第639回のスポットライトリサーチは、東京科学大学理学院化学系(前田研究室)の岡崎 めぐみ 助教にお…

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

第18回日本化学連合シンポジウム「社会実装を実現する化学人材創出における新たな視点」

日本化学連合ではシンポジウムを毎年2回開催しています。そのうち2025年3月4日開催のシンポジウムで…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー