無機化合物である酸化インジウムスズ。電子材料の中ではとても有名。
応用例
酸化インジウムスズ (Tin-doped Indium OxideまたはIndium Tin Oxide、ITO)は、酸化インジウム(In2O3) に酸化スズ(SnO2)が少量含まれている複合酸化物で、現在の電子機器には欠かせない存在です。具体的には、透明電極としてTVやスマホ、タブレットの画面部分、さらには有機ELや太陽電池にも組み込まれています。透明電極は、その名の通り透明な電極で、なぜITOが広く使われているかというと、薄膜にしたときに高い透明性と電気伝導性があるからです。
製法
スズとインジウムの粉末を酸性溶液に溶かしアルカリで中和しながら酸化物の固体を得ます。その後、精製されITO粉末が得られます。ITO薄膜化はスパッタリングによって行われることが多く、ITO粉末をスパッタリングターゲットと呼ばれる固体にした後、スパッタリング装置で他の部品の上に積層化され、スマホなどに組み込まれます。
ITOの今後
ITOを構成するインジウムはレアメタルなので市場の影響を受けます。また、ITO薄膜は曲げに弱いため、フレキシブル端末には使いにくいという欠点がありITOに代わる透明電極の開発は最近よく行われている研究の一つです。
関連書籍
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関連リンク
- シャープ「液晶ディスプレイの構造と作り方」:液晶ディスプレイの具体的にどこに透明電極が使われるか記載されている。
- 住友化学研究報告書:ITO粉末の製法について記載されている。
- 東ソー研究レポート:ITOターゲットの製法について記載されている。