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K. C. Nicolaou  (Ths Scripps Research Institute)

 

(写真:UC San Diego Homepageより)

 HP   Email: kcn@scripps.edu

  

経歴

 

1946年生まれ。London大学にて博士号を取得後、Columbia大学T.J.Katz教授およびHarvard大学E.J.Corey教授のもとでポスドクとして研究を行う。2005年現在、Scripps研究所主任研究員。


 

受賞歴

 

Tetrahedron Prize, Max Tischler Prize, Yamada Prize, Nagoya Medal, Centenary Medal, Paul Knorr Medal, Inhoffen Medal, Linus Pauling Medal, ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry, ACS Guethner Award in Natural Products Chemistry, ACS Arthur C. Cope Award等。

 

 

研究

 

有機合成化学における新規方法論の開発。きわめて複雑な骨格を有する生理活性天然物の化学全合成・誘導体合成およびChemical Biologyへの展開

 

抗腫瘍活性物質タキソール・抗生物質バンコマイシン・海産毒ブレベトキシンの全合成、・エポチロン類の誘導体合成による構造活性相関研究など。
近年ではIBX・Dess-Martin試薬を用いる新規芳香族官能基化反応の開発、ジアゾンアミド、CP-Moleculeの全合成など。  

 

コメント

 

重要な生理活性を有する天然物の全合成の権威。タキソール、エポチロン、バンコマイシン、ブレベトキシン、ジアゾンアミド、最近では貝毒アザスピロ酸の提唱されていた構造の多数の誤りを化学合成によって訂正し、供給することにより貝毒研究の進展に貢献されています。このように合成した天然物を生物学的研究のために供給することで、生物学的発展にも貢献されています。もちろん、天然物合成の方法論の発展にも多大な寄与があります。

  その業績、他分野へのインパクトは大きく、ThomsonISI社のノーベル賞候補者に毎年名前が挙がるほどです。多数の賞を取られており、あともらっていない賞はノーベル賞だけという感じです。

 また、Classics in Total Synthesisという全合成の歴史的傑作に関する書物を執筆されており、本書は化学専門書としては異例のベストセラーとなっています。世界中の有機合成化学者達に広く読まれている素晴らしい書です(関連書籍参照)。

 

 

キーワード&解説

 

全合成 (Total Synthesis)

 全合成とは、最小単位の原料から天然生理活性物質(天然物)を合成することを意味します。英語ではTotal Synthesis。ある著名な先生によるとTotal Sythesisと言う言葉はPartial Synthesis(部分合成)と対義語で最近は全部作るのが当たり前だからつかっちゃいかんと言っていました。また、ある先生は炭素からつくるのが全合成・・・。とにかく、山登りに例えるほど、困難なときもあります。(Chem-Station化学用語より)

タキソール (Paclitaxel, TaxolTM)

 イチイ科植物から単離されるタキサンジテルペノイドは3員環化合物であり、その特徴的な炭素骨格上に多くの不斉中心、酸素官能基を有することから合成標的として興味を集めている。特にTaxolは抗腫瘍活性を持ち、強力な制癌活性を示すことが報告されている(天然物合成テキストより)。

 

ブレベトキシンA (Brevetoxin A)

 赤潮の際にプランクトンが産生する毒物のひとつ。 trans縮環したポリエーテル環がいくつも連続する構造を持つのが特徴で、こうした構造は海産物由来の毒物に多く見られます。Brevetoxin類は細胞膜上のNaチャネルに強く結合し、強力な神経毒として働く。

エポチロン (Epothilone)

 細胞微小管に結合し、安定化させることで細胞分裂を抑制し、タキソールと同様の機構で抗腫瘍活性を示す天然物。タキソールに比べてバイオアベイラビリティなど様々な点で優れているとされ、それに代わりうる抗ガン剤として現在臨床試験が行われている。比較的構造が単純なため、多くのグループによって誘導体合成・構造活性相関研究がなされている。

 

書籍&論文

 


・Total Synthesis of Taxol: Nature 1994, 367, 260.
・Total Synthesis of Brevetoxin A: Nature 1998, 392, 264.
・Structure-Activity Relationships for Epothilone analogues: Nature 1997, 387, 268.
・Total Synthesis of CP-Molecules: Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 2678.
・Domino Reaction in Organic Synthesis (Review): Chem. Commun. 2003, 551.


Classics in Total SynthesisClassics in Total Synthesis

クラシックスという言葉は入っているが、90年代前半までの合成化学的に面白く、すばらしい天然物合成を対象としていて、有機合成化学者を目指すならば一度は目を通しておきたい良著である。ただペーパーを並べただけでなく反応機構や合成戦略も詳細に記述してあるので、読むだけで勉強になる。値段に対して安いと思った書籍のひとつです。

Classics in Total Synthesis IIClassics in Total Synthesis II

前書のClassics in Total Synthesis : Targets, Strategies, Methods 同様全合成の興味深い論文を詳しく、反応から合成法まで解説。Classicsと名前はついているが、最近合成された天然物ばかりで最新の全合成、合成戦略を体系的に学習できる。研究室のゼミの題材等にも最適であるため、ぜひもっておきたい1冊である。

Dead Ends and DetoursDead Ends and Detours

名前の通り、天然物合成の際の行き止まり、回り道について書いた本である。論文ではほぼ成功例のみを書き、こうしたらうまくいかなかったということはあまり書くことはない。この本は、だめなルート、困ったところに焦点が当てており、実際に非常に参考になる本である。おすすめです。

Selenium in Natural Products Synthesis

Handbook of Combinatorial Chemistry

Natural Product Synthesis IINatural Product Synthesis II



天然物の全合成―Total synthesis of natural products

 

 

関連リンク

 

K. C. Nicolaou Group (The Scripps Research Institute)

 


タキソール〜全合成のドラマ〜 (有機化学美術館)
海産物の毒 (有機化学美術館)
Brevetoxins
Will Epothilone Write An Epitaph for Cancer?
トムソン:2005年ノーベル賞の有力候補者を発表 (ケムステニュース)

 

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