ソウル大工学部の教授が海外学術誌に掲載した論文が虚偽資料を根拠に書いたことが明らかになり、該当論文が取り消される見込みだ。
ソウル大研究真実性委員会は12日、「化学生命工学部のシン・ギュスン教授が学術誌『ネーチャーマテリアルズ』に発表した『孤立構造で高分子運動性増加』と題した論文が、虚偽のデータをもとに作成されたことが確認された」と明らかにした。
ソウル大はこの事実を該当ジャーナルに通知する。大学側は虚偽と確認された研究資料が論文の核心的な部分であるため、学術誌出版社が論文を取り消す可能性が高いとみている。米科学専門誌「サイエンス」が06年に黄禹錫(ファン・ウソク)教授の論文2件を取り消して以来、海外ジャーナルがソウル大教授の論文を取り消したことはなかった(引用:中央日報)。
近年の大規模な捏造事件としては、ソウル大の黄教授によるヒト胚性幹細胞(ES細胞)捏造事件が有名ですが、同じ大学からまたほぼクロであるという捏造事件が起こってしまいました。該当する論文は以下の論文です。
Enhanced mobility of confined polymers
Shin, K.; Obukhov, S, Chen, J.-T.; Huh, J.; Hwang, Y.; Mok, S.; Dobriyal, P.; Thiyagarajan, P.; Russell, T. P, Nature Materials 6, 2007, 961. DOI: 10.1038/nmat2031
第一著者のシン教授(正確にいえばAssistant Professor)は2003年にPh.Dを取得し、2005年からアカデミックキャリアを始めた若手研究者で数は少ないですが、かなりの注目される結果を残していたようです。学位を取得した後にアマースト大学のRussell教授の元で博士研究員をしていたことから、ソウル大学で独立してからも共同研究をしています。彼の研究室のホームページはまだありましたが、メンバーの記載がなく2007年から更新がとまっています。詳しいことは正直よくわからないので今後の状況を見守ることにしましょう。
ところで、筆者の研究分野でも最近公ではないですが、見る人がみればすぐにわかる明らかに捏造と思われる論文がトップジャーナルに掲載されていました。独自の調査の結果、どうやら学生が捏造をしていると思われるのですが、確信ではないということと、ここで話すことではないので伏せておきます。言いたいことは、現象、実験事実に大して正直であって欲しいということです。なんのための”結果”なのでしょうか。もう一度実験科学から得られる”結果”に向きあって科学を楽しんで欲しいと思います。