[スポンサーリンク]

ケムステニュース

2006年度ノーベル化学賞-スタンフォード大コンバーク教授に授与

[スポンサーリンク]

 

コーンバーグ

 スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2006年のノーベル化学賞をスタンフォード大のロジャー・コーンバーグ(Roger Kornberg)医学部構造生物学科教授(59)に授与すると発表した。授与理由は「真核生物における遺伝情報の転写の研究に対する貢献」です。

 

 

コーンバーグ教授はヒストン八量体にDNA分子が巻き付いた構造を有するクロマチンモデルの提案者です。酵母菌の転写研究の先駆者であり、生化学の権威として知られています。賞金は計1000万クローナ(約1億6000万円)。授賞式は、12月10日にストックホルム。

ヌクレオソーム

?教授は1974年に真核細胞の染色質(クロマチン)が凝集していない最小単位であるヌクレオソーム(nucleosome)を提唱しました。そのヌクレオソームはDNA二重鎖と円盤状のたんぱく質であるヒストンで構成されています。DNA二重鎖はヒストンの周りを取り囲んでいて、その周囲を1.75周したものが一単位のヌクレオソームです。

 

?ちなみに親父はアーサー・ コーンバーグ(スタンフォード大学医学部生化学科 名誉教授)。リボ核酸およびデオキシリボ核酸の生合成の仕組みを明らかにした功績により、1959年のノーベル生理・医学賞を受賞しています。つまりDNAポリメラーゼの発見です。親子二代にわたっての受賞は初めてではないでしょうか?(←調べてみたところいっぱいいるようです。失礼しました。)さらに最近化学賞は連名が多かっただけに、すばらしいですね。もうちょっと生物よりも基礎化学分野に近いほうがよかったですが。

弟のトムもカリフォルニア大学生化学・生物物理学部教授。生物学一家ですね。

コーンバーグ研究室

  • 関連書籍

それは失敗からはじまった―生命分子の合成に賭けた男

生化学の旗手として、また分子生物学を拓いた科学者として、アーサー・コーンバーグの名前はあまりにも名高い。本書は、ユダヤ人移民として育った彼が、その情熱と個性をぶつけ、DNA合成という”生命の創造”に成功した偉大な人生の記録であり、また熱っぽく、かつ分かりやすく語られる科学そのものの歴史でもある。

 

  • 関連サイト

The Nobel Prize in Chemistry 2006(Nobel.org)

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. コーラから発がん物質?
  2. 核のごみを貴金属に 現代の錬金術、実験へ
  3. 新日石、地下資源開発に3年で2000億円投資
  4. ヤクルト、大腸の抗がん剤「エルブラット」発売
  5. メラノーマ治療薬のリード化合物を発見
  6. 福井鉄道と大研化学工業、11月に電池使い車両運行実験
  7. 服用で意識不明6件、抗生剤に厚労省が注意呼びかけ
  8. パテントクリフの打撃顕著に:2012製薬業績

注目情報

ピックアップ記事

  1. MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話」
  2. 全フッ素化カーボンナノリングの合成
  3. デニス・ドーハティ Dennis A. Dougherty
  4. 勃起の化学
  5. サラシノール salacinol
  6. ハートウィグ ヒドロアミノ化反応 Hartwig Hydroamination
  7. UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立
  8. 【速報】2023年ノーベル化学賞は「量子ドットの発見と合成」へ!
  9. Practical Functional Group Synthesis
  10. アメリカ化学留学 ”実践編 ー英会話の勉強ー”!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年10月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー