村井 眞二(むらい しんじ、1938年8月24日 – )は日本の有機化学者である。大阪大学名誉教授。奈良先端科学技術大学院大学理事・副学長。日本化学会元会長(写真:I²CNER)。
経歴
1957 大阪府立住吉高等学校 卒業
1966 大阪大学大学院工学研究科 終了
1966 大阪大学工学部 助手
1973 大阪大学工学部 助教授
1967 米国ウィスコンシン大学 博士研究員(Robert West教授)
1989 大阪大学工学部 教授
1999 大阪大学工学部長・工学研究科長
2002 大阪大学 名誉教授
2005 奈良先端科学技術大学院大学 理事
2009 奈良先端科学技術大学院大学 理事・副学長
また日本化学会 会長(2005)、 科学技術振興機構 JST イノベーションプラザ大阪館長(2005)を兼任する。
受賞歴
1984 日本化学会 学術賞
1997 日本化学会賞
2004 有機合成化学特別賞
2005 藤原賞
2010 日本学士院賞
2014 瑞宝中綬
2016 朝日賞
2017 文化功労者
研究概要
遷移金属触媒を用いる有機合成反応の開発が主軸テーマ。
とくに歴史的な業績としては、世界初の実用的C-H結合活性化型触媒反応の開発が挙げられる。
これは有機化合物に広く存在する炭素-水素結合を足がかりとして他種の結合に変換できる反応形式であり、工程数や廃棄物の低減など合成経路の簡略化が期待できる。このため環境観点からも最重要な化学変換のひとつとされている。
村井らは上記のようなルテニウム触媒を用いることで、化学的に安定とされているC-H結合を活性化し、炭素ー炭素結合形成を行えることを実証[1]した。当時はC-H結合への酸化的付加がもっとも難しいとする考え方が世界的主流であった。しかし村井らは還元的脱離こそが律速段階である事実を実証し、世界中の化学者の認識を変えることに成功した。これにより現在では一大研究領域となっている、C-H活性化型化学変換への道を拓くことに成功した。
また一酸化炭素(CO)を炭素源として用いる合成反応・触媒反応の開発などでも、世界的な業績を数多く上げている。
コメント&その他
名言集
- 「研究室では上手くいかないのが常態です」
関連動画
関連文献
- Murai, S.; Kakiuchi, F.; Sekine, S.; Tanaka, Y.; Kamatani, A.; Sonoda, M.; Chatani, N. Nature 1993, 366, 529. doi:10.1038/366529a0
- Kakiuchi, F.;Murai, S. Acc. Chem. Res 2002, 35, 826. DOI: 10.1021/ar960318p
関連書籍
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