[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

マイケル・グレッツェル Michael Gratzel

[スポンサーリンク]

マイケル・グレッツェル (Michael Gratzel、1944年5月11日-)は、スイスの化学者である。ローザンヌ工科大学 教授。

 経歴

1968 ベルリン自由大学 卒業
1970 ベルリン自由大学 博士号取得(Arnim Henglein 教授)
1970-1972 ノートルダム大学放射研究所 博士研究員
1977- ローザンヌ工科大学化学科 教授

受賞歴

1998 McKinsey Venture awards
2000 European innovation prize
2001 Faraday Medal
2001 Dutch Havinga Award
2002 McKinsey Venture awards
2004 Italgas Prize
2005 Gerischer Prize

研究

メゾスコピック材料における電子・エネルギー移動反応におけるパイオニア。

色素増感型太陽電池(Dye-sensitized solar cell)の開発

1991年にグレッツェルは、二酸化チタン粒子に色素を吸着させた電極、ヨウ素電解質溶液、白金対極から成る湿式太陽電池を開発した[1]。開発者である彼の名を取ってグレッツェルセルと呼ばれる。

色素が太陽光を吸収し、二酸化チタンに電子を受け渡すことで起電力が発生する。色素は溶液中のヨウ化物イオンから電子を受け取る。この過程で生じた三ヨウ化物イオンは対極で還元される。この一連の化学反応によって電流が流れる。

gratzel_cell.png

色素増感型太陽電池は、従来型のシリコン半導体型太陽電池(乾式電池)と比べ様々な利点を有する。低コストに製造でき、また大規模な製造機器も必要としない。機構も単純なために量産しやすい。色や加工形状のデザインにおける自由度が高い。色素の組み合わせによって吸収波長の調節が可能。

課題は変換効率の低さであり、多くの場合その解決に研究主眼は置かれている。現在、実用化に向けての研究が急ピッチで進められている次世代型太陽電池である。

名言集

 

コメント&その他

  1. 500以上の論文を執筆し、40以上の特許を保有。

 

関連動画

関連文献

  1.  O’Regan, B.;  Gratzel, M. Nature 1991, 353, 737.

関連書籍

[amazonjs asin=”0849359686″ locale=”JP” title=”Heterogeneous Photochemical Electron Transfer”][amazonjs asin=”1581127723″ locale=”JP” title=”The Bases of Chemical Thermodynamics”][amazonjs asin=”0122957202″ locale=”JP” title=”Energy Resources Through Photochemistry and Catalysis”][amazonjs asin=”0824784952″ locale=”JP” title=”Kinetics and Catalysis in Microheterogeneous Systems (Surfactant Science)”][amazonjs asin=”9048142652″ locale=”JP” title=”Photosensitization and Photocatalysis Using Inorganic and Organometallic Compounds (Catalysis by Metal Complexes)”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アントニオ・M・エチャヴァレン Antonio M. Echav…
  2. 遠藤守信 Morinobu Endo
  3. フィリップ・イートン Phillip E. Eaton
  4. 林松 Song Lin
  5. バリー・ハリウェル Barry Halliwell
  6. トビン・マークス Tobin J. Marks
  7. 中村 修二 Shuji Nakamura
  8. 飯島澄男 Sumio Iijima

注目情報

ピックアップ記事

  1. 理研:23日に一般公開、「実験ジャー」も登場--和光 /埼玉
  2. クネーフェナーゲル縮合 Knoevenagel Condensation
  3. Gaussian Input File データベース
  4. 多彩な蛍光を発する単一分子有機化合物をつくる
  5. 【2分クッキング】シキミ酸エスプレッソ
  6. 環状アミンを切ってフッ素をいれる
  7. クロスメタセシスによる三置換アリルアルコール類の合成
  8. 四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応
  9. ゼムラー・ウォルフ反応 Semmeler-Wolff Reaction
  10. 日本化学会 第11回化学遺産認定、新たに4件を発表

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP