細野 秀雄(ほその ひでお、1953年9月7日-)は、日本の無機化学者・電気化学者・材料化学者である。東京工業大学名誉教授(写真:産学官の道しるべ)。
経歴
1977 東京都立大学 工学部工業科化学科 卒業
1982 東京都立大学大学院 博士課程修了
1982 名古屋工業大学 工学部無機材料工学科 助手
1988 ヴァンダービルト大学 客員助教授
1990 名古屋工業大学 工学部材料工学科 助教授
1993 東京工業大学 工業材料研究所 助教授
1995 岡崎国立共同研究機構 分子科学研研究所 助教授
1997 東京工業大学 応用セラミックス研究所 教授
2019 東京工業大学フロンティア材料研究所名誉教授
以下兼任
1999-2004 ERATO「細野透明電子活性プロジェクト」総括責任者
2002-2007 21世紀COE 東工大産業化を目指したナノ材料開拓と人材育成拠点リーダー
2004-2010 ERATO-SORST「機能性酸化物プロジェクト」総括責任者
受賞歴
1986 日本セラミックス協会賞
1991 Otto-Schott 研究賞
1994 W.H.Zachariasen賞
1998 市村学術賞。
1999 日本セラミックス協会賞
2002 井上学術賞
2002 米国セラミックス学会フェロー
2004 日本化学会 学術賞
2004 TEPIAハイテクビデオコンテスト グランプリ
2005 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
2009 藤原賞
2009 紫綬褒章
2012 仁科記念賞
2013 トムソン・ロイター引用栄誉賞『鉄系超伝導物質の発見』
2015 日本学士院賞、恩賜賞
2016 日本国際賞
2018年 フォン・ヒッペル賞
2022年 エドゥアルト・ライン財団技術賞
研究概要
透明アモルファス酸化物半導体の発見
1997年に世界で初めて、透明酸化物でP型伝導性を持つ物質の設計法と具体例をNature誌に 報告[]。2004年には、酸化物半導体が持つ優れた特徴 -室温で作製したアモルファス膜で、アモルファスシリコンや有機半導体よりも一桁以上高い特性を持つ- という特長を活かした、フレキシブル透明TFTを実現した(IGZO TFT)。
さらに2010年に透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)を発見し、TAOSの一種であるIGZOを用いて高移動度・透明・フレキシブルな薄膜トランジスタ(TFT)を開発。次世代ディスプレイ(高解像度・3次元・大画面)として国内外の企業から注目を集め、特許ライセンスに至っている。
鉄系高温超伝導材料の発見
LaCuOSeのCuをFeで置き換え、SeをPやAsなどに置き換えることで、今までとは全く構造の違う、新しい超伝導体を発見した。
名言集
- 「あなたの夢は何ですか」と聞かれて、「世の中からアモルファスシリコンをなくすことです」と答えたことがありました。でも最近は言わないですよ、もう往時の強さはありませんので。
関連動画
コメント&その他
- 鉄系高温超伝導材料を報告した論文[1]は、サイエンス誌の「ブレイクスルーオブザイヤー」に選定され、2008年に世界で最も引用された論文となりました。
- 各界の超一流フロントランナーを特集しているNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に紹介されています。
関連文献
- Kawazoe,H.;Yasukawa,M.; Yanagi, H.;and Hosono,H., Nature, 1997, 389, 939. DOI: 10.1038/40087
- Nomura, K.; Ohta, H.; Ueda, K.; Kamiya, T.; Hirano, M.; Hosono, H. Science, 2003, 300, 1269. DOI: 10.1126/science.1083212
- Hayashi, K.; Matsuishi, S.; Kamiya, T.; Hirano, M.; Hosono, H. Nature, 2002, 419, 462. DOI: 10.1038/nature01053
- Matsuishi, S.; Toda, Y.; Miyakawa, M.; Hayashi, K.; Kamiya, K.; Hirano, M.; Tanaka, I.; Hosono, H. Science, 2003, 301, 626. DOI:10.1126/science.1083842
- Nomura,K.;Ohta,H.;Takagi,A.; Kamiya,T.; Hirano,M.; Hosono,H. Nature, 2004, 432, 488. DOI: 10.1038/nature03090
- Kambara, Y.; Watanabe, T.; Hirano, M. Hosono, H. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 3296. doi:10.1021/ja800073m
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