[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

柴﨑正勝 Masakatsu Shibasaki

[スポンサーリンク]

柴﨑正勝 (しばさき まさかつ、1947年1月25日-)は日本の有機化学者である。財団法人微生物化学研究会 化学研究センター長・理事長。東京大学 名誉教授。北海道大学 名誉教授。

経歴

1969 東京大学 卒業
1974 東京大学大学院 博士(薬学)取得(山田俊一 教授)
1974-1977 ハーバード大学 博士研究員 (E. J. Corey 教授)
1977 帝京大学 助教授(池上四郎 教授)
1983 相模中央研究所 主任研究員
1986 北海道大学 教授
1991 東京大学大学院薬学系研究科 教授
2010 東京大学名誉教授・北海道大学名誉教授
2010 (財)微生物化学研究会 常務理事・微生物化学研究所長
2014(公財)微生物化学研究会 理事長

<兼務>

2005-2006 日本薬学会 副会頭
2005- 日本学術会議 会員
2006-2007 日本薬学会 会頭
2013-2015 日本薬学会 会

受賞歴

1981 日本薬学会奨励賞
1994 井上学術賞
1996 Reagent of the Year (Fluka Prize)
1999 日本薬学会賞
1999 モレキュラーキラリティ賞
2001 内藤記念科学振興賞
2002 ACS アーサー・C・コープ スカラー賞
2003 紫綬褒章
2004 東レ科学技術賞
2005 日本学士院賞
2006 高峰記念三共賞
2006 日本希土類学会 塩川賞
2008 ACS 有機合成化学創造研究賞
2008 センテナリーメダル (イギリス化学会)
2008 プレログメダル
2010 有機合成化学協会特別賞
2012 有機合成化学協会 高砂香料国際賞「野依賞」

 

研究

多点認識型不斉触媒の開発および生物活性物質合成への応用

ビナフトール(BINOL)骨格および糖骨格に基づく不斉触媒の開発が主要な業績。不斉触媒設計における「多点認識概念」に基づき、これまで困難とされてきた種々の反応を高い不斉収率にて進行させることに成功。不斉触媒分野における1995年-2005年の論文引用回数は世界一。

LLB.gif

開発した反応を応用し、エポチロン、ストリキニーネ、ホストリエシンなど多数の生物活性化合物の全合成も達成している。 最近ではハーバード大学のE.J.Coreyグループとほぼ同時に、抗インフルエンザ薬タミフルの不斉合成を報告し、話題となった[1]。石油原料である1,4-シクロヘキサジエンを出発物質としている点が特徴で、安定供給に向けての基礎的成果となりえる。

Tamiflu.jpg

名言集

タキソール様の分子を、地球環境に負の効果をもたらすことなくトンスケールで合成できれば、有機合成は人類にとって100%の成熟度に達したと言えるのではないか」

関連動画

コメント&その他

  1. 国内外アカデミアに多数の門下生を輩出する。荒井孝義(千葉大理)、荒井緑(慶応大理工)、魚住泰広(分子研)、大嶋孝志(九大薬)、金井求(東大薬)、上條真(山口大創成科学)、熊谷直哉(慶応大薬)、笹井宏明(阪大産研)、佐藤美洋(北大薬)、澤田大介(岡大医歯薬)、杉田和幸(星薬科大)、鈴木健之(阪大産研)、袖岡幹子(理研)、中田雅久(早大理工)、中村精一(名市大薬)、西田まゆみ(北大触媒研)、西田篤司(千葉大薬)、根本哲宏(千葉大薬)、濱島義隆(静岡県大薬)、間瀬俊明(分子研)、松永茂樹(北大薬)、山田健一(徳大医歯薬)、山田陽一(理研)など。

関連文献

  1. (a) Fukuta, Y.; Mita, T.; Fukuda, N.; Kanai, M.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6312. DOI:10.1021/ja061696k (b) Mita, T.; Fukuda, N.; Roca, F. X.;Kanai, M.; Shibasaki, M. Org. Lett. 2007, 9, 259. (c) Yamatsugu, K; Kamijo, S.; Suto, Y.; Kanai, M.; Shibasaki, M. Tetrahedron Lett. 2007, 48, 1403.(d) Yamatsugu, K.; Yin, L.; Kamijo, S.; Kimura, Y.; Kanai, M.; Shibasaki, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 48, 1070. doi: 10.1002/anie.200804777
  2.  “Author Profile” Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 6944. DOI : 10.1002/anie.200904210

関連書籍

[amazonjs asin=”3527308288″ locale=”JP” title=”Multimetallic Catalysts in Organic Synthesis”][amazonjs asin=”3527299785″ locale=”JP” title=”Stimulating Concepts in Chemistry”][amazonjs asin=”4882319136″ locale=”JP” title=”有機分子触媒の新展開 (CMC Books)”][amazonjs asin=”4621071874″ locale=”JP” title=”メディシナルケミストリー”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アレン・バード Allen J. Bard
  2. デービーメダル―受賞者一覧
  3. スタンリー・ウィッティンガム M. S. Whittingham…
  4. 日本国際賞―受賞化学者一覧
  5. 焦宁 Ning Jiao
  6. ジョン・アンソニー・ポープル Sir John Anthony …
  7. 八島栄次 Eiji Yashima
  8. 山元公寿 Kimihisa Yamamoto

注目情報

ピックアップ記事

  1. 外部の大学院に進学するメリット3選
  2. 第一手はこれだ!:古典的反応から最新反応まで|第6回「有機合成実験テクニック」(リケラボコラボレーション)
  3. 放線菌が生産するアベナルミ酸生合成において、ジアゾ化とヒドリド転移による芳香族アミノ基除去システムを発見
  4. 製薬系企業研究者との懇談会(オンライン)
  5. DMFを選択的に検出するセンサー:アミド分子と二次元半導体の特異な相互作用による検出原理を発見
  6. 有機化学1000本ノック【反応機構編】
  7. ボイヤー・シュミット・オーブ転位 Boyer-Schmidt-Aube Rearrangement
  8. ライアン・シェンビ Ryan A. Shenvi
  9. マテリアルズ・インフォマティクスの導入・活用・推進におけるよくある失敗とその対策とは?
  10. 鄧 青雲 Ching W. Tang

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年10月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

植物由来アルカロイドライブラリーから新たな不斉有機触媒の発見

第632回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(中分子化学研究室)博士課程後期3年の…

MEDCHEM NEWS 33-4 号「創薬人育成事業の活動報告」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化する化学」を開催します!

第49回ケムステVシンポの会告を致します。2年前(32回)・昨年(41回)に引き続き、今年も…

【日産化学】新卒採用情報(2026卒)

―研究で未来を創る。こんな世界にしたいと理想の姿を描き、実現のために必要なものをうみだす。…

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP