希土類研究者の間では微妙な用語の使い分けがしばしば取りざたされます。ランタニドは「ランタノイドからLaを除いたグループ」、希土類元素は「ランタノイドにScとYを加えたグループ」という定義で用いられるのが一般的です。
ランタノイド金属は第5周期までとは異なり、原子番号が増えるにつれ4f軌道に電子が充填されていきます。しかし、4f軌道は化学的性質にあまり関与しないため、15種類の元素は性質がきわめて似てきます。そのため各ランタノイド元素を分離することは一般にとても難しいとされています。現在では溶解度の微妙な差を利用し、溶媒抽出操作で分離します。溶媒混合比率をひたすら検討し、最適な分離条件を探す研究も細々とではありますが行われているようです。
ランタノイド元素は原子番号が大きくなるにつれ、その原子半径が小さくなっていきます。化学的関与しにくい4f軌道に電子が詰まっていくため、殻電子の遮蔽効果よりも原子核による正電荷引力の影響のほうが、相対的に強くなっていくためです。これは一般的な元素とは逆の傾向にあり、特にランタノイド収縮(lanthanoid contraction)と呼ばれます。
原子半径が大きく通常6~8配位と大きな配位数をとるため、錯体化学的にも興味深い研究対象です。あまりの構造的フレキシビリティの高さゆえ、X線グレードの結晶をとってくるのはかなり難しいらしいですが。
有機合成化学においては、酸素親和性の高さを利用したルイス酸触媒として用いられることが多いです。3価以外の価数を容易にとるCeは酸化剤、Smは還元剤としても利用されます。
蛍光を発するランタノイド錯体も知られており、近年ではこれをバイオプローブとして利用しようとする試みも盛んです。
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