[スポンサーリンク]

その他

レア RARE 希少金属の知っておきたい16話

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4759818200″ locale=”JP” title=”レア RARE 希少金属の知っておきたい16話”]

内容

レアメタル(希少金属)は,スマホや電池,ハイブリッド車など,快適な暮らしを支えるハイテク製品に欠かせない.最大消費国といえる日本も,レアメタルは輸入が頼りだ.本書では,資源の問題,金属の利用史や希土類(レアアース)の素性を眺め,113番元素で話題の「元素合成」もとりあげる.関連科学者の逸話,資源確保と国際情勢のからみ合いを紹介しつつ,金属(化学)なしでは立ち行かない現代社会の素顔を暴き,遠い未来も展望する.金属を制する者は世界を制す――その事実に思い至れば,スマホを見る目も変わるだろう.(引用:化学同人

対象

  • 一般

解説

近年話題のレアメタルに関しての書籍。多くの書籍がでており、テレビでも報道されているので一般的にも、「レアメタル」とう単語ぐらいは知れ渡っているといえる。内容欄にあるように現在の最先端材料にはかかせない、希少金属だ。

本書は翻訳本であり、著者はキース・ベロニースという、サイエンス・ライター。日本でもよく知られる「ギズモード」の科学関連ブログ版「iO9」で活躍しているとのこと*。サイエンス・ライターが海外では(日本でも徐々に活躍している人はみられるが)しっかり職業になっているのが素晴らしい。本書は、米国で2015年1月に出版されたベロニース氏の書籍「Rare: The High-Stakes Race to Satisfy Our Need for the Scarcest Metals on Earth」(下図)を、東京理科大学教授の渡辺正氏が翻訳したものだ。海外で人気を博した書籍であるため、翻訳本の出版に至ったのだろう。

rare

さて、肝心の内容であるが、読み物形式でレアメタルに関する16の話を語っている。ひとことで言うと大変読みやすい。原著の中身がみれず、翻訳文をみての感想なので正確ではないが、学術的な書き方ではなく、わかりやすいタッチで様々な比喩をつかいながら執筆されている。

例えば、

 ppmやpubはさまざまな場面でつかう。

いまの一文を読むのに5秒かかったら読者は人生80年の2ppbほど消費したこととなる。なにしろわずかな割合だから耳にしたときは注意しよう。

たとえば、浄水場の水に168ppbのホルムアルデヒドを検出−−−

とメディアが大騒ぎしても、全く安全な濃度の二桁も下だから、おびえる必要は何ひとつない。

といった感じだ。書籍の中身はかなりマニアックなところまで話しているが、高校化学を覚えていれば読みにくいといったことはないだろう。

とはいえど、レアメタルの書籍なので様々な金属元素の名前がでてくる。元素に関する書籍のレアメタルの部分を抜き出して、より興味を引くように、かつレアメタルをかじっている人の興味も損なわないように配慮された内容であるといえる。他のレアメタルの書籍はあまり読んだことがないが、マニアックなところまで記載されていて、一般にも読みやすい書籍はあまりないだろう。そういう意味(難しい科学をわかりやすく書くということ)でも参考になった。

以上、体系的にレアメタルを学ぶものではなく、読み物として、自身の知識拡充として読む書籍であり、時間の空いた際に気軽に読むことをおすすめしたい。

 

*調べてみたところ、2014年3月から記事は執筆していないようだ(こちら)。忙しくなったのか、書籍執筆などに勤しんでいるのかはわからない。主にアニメにでてくる科学の話を解説していた模様。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4526075175″ locale=”JP” title=”NEDOレポート 解説レアメタル”][amazonjs asin=”4534053584″ locale=”JP” title=”すごい! 希少金属”][amazonjs asin=”4054055788″ locale=”JP” title=”美しい鉱物―レアメタルから宝石まで鉱物の基本がわかる! (学研の図鑑)”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 元素周期 萌えて覚える化学の基本
  2. 英会話イメージリンク習得法―英会話教室に行く前に身につけておきた…
  3. 【書評】元素楽章ー擬人化でわかる元素の世界
  4. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー4
  5. 【著者インタビュー動画あり!】有機化学1000本ノック スペクト…
  6. 分子光化学の原理
  7. 有機反応の仕組みと考え方
  8. 切磋琢磨するアメリカの科学者たち―米国アカデミアと競争的資金の申…

注目情報

ピックアップ記事

  1. タンパク質の非特異吸着を抑制する高分子微粒子の合成と応用
  2. 有機合成プロセスにおけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用
  3. フラストレイティド・ルイスペア Frustrated Lewis Pair
  4. 光で脳/神経科学に革命を起こす「オプトジェネティクス」
  5. 有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする
  6. 【書籍】機器分析ハンドブック2 高分子・分離分析編
  7. 自宅で抽出実験も?自宅で使える理化学ガラス「リカシツ」
  8. ジピバロイルメタン:Dipivaloylmethane
  9. 化学かるた:元素編ー世界化学年をちなみ
  10. 【9月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】有機金属化合物 オルガチックスを用いたゾルゲル法とプロセス制御ノウハウ①

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

ブテンを原料に天然物のコードを紡ぐ ―新触媒が拓く医薬リード分子の迅速プログラム合成―

第 687回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 有機合成化学教室 (金井…

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP