[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

フタロシアニン-化学と機能-

[スポンサーリンク]

概要

フタロシアニン研究の第一人者、小林長夫先生と白井汪芳によって書かれたフタロシアニンの専門書。同様の骨格を有するポルフィリンに比べ、フタロシアニンは研究者人口も少なく、教科書等で勉強するのは、困難であった。「フタロシアニン -化学と機能-」はフタロシアニンの研究者にとってはバイブル的存在。フタロシアニンの研究を始めるにあたってまず最初に読むべき本。購入は、株式会社アイピーシーから直接お求めください。

 

対象

フタロシアニンに関わる研究者

 

解説

本書は、第一編(化学)と第二編(物理機能と応用)からなり、全部で6つの章からなっている。

  • 第一編(化学)

第一章(合成)では、フタロシアニンの合成について、原料の合成段階から詳しく書いてある。フタロシアニン研究者は、物性に興味がある人が多く、合成についてはそれほど研究が盛んになされていないのが現状である。それゆえ、論文を参考に実験を行っても再現性が得られないことが多々ある。本書では、筆者が実際に行った合成のみを取り上げているため、再現性については問題ない。無金属体フタロシアニン、各族の金属フタロシアニンなど、細かく合成法が解説されている。実験室レベルだけでなく、工業的製法についても記述されている。

第三章(分光学)では、MCD、ESRなどフタロシアニンの同定において重要となる測定法が紹介されている。

  • 第二編(物理機能と応用)

第四章(電子機能と応用)基礎的な説明から、各種フタロシアニン誘導体の酸化還元電位の一覧表、参考文献等、初学者から一線の研究者まで幅広く使えるように構成されている。太陽電池、CD(光記録媒体)の研究が紹介されている。

第五章(触媒機能と応用)では、酵素モデル、光反応、消臭剤としてのフタロシアニンの研究が紹介されている。こちらも、化学反応を触媒するという説明のみではなく、反応速度、酸化還元電位、各種誘導体でのデータ等、細かく紹介されている。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4901493493″ locale=”JP” title=”機能性色素としてのフタロシアニン 基礎編・応用編”][amazonjs asin=”1158455801″ locale=”JP” title=”Phthalocyanines”]
Avatar photo

ゼロ

投稿者の記事一覧

女の子。研究所勤務。趣味は読書とハイキング ♪
ハンドルネームは村上龍の「愛と幻想のファシズム」の登場人物にちなんでま〜す。5 分後の世界、ヒュウガ・ウイルスも好き!

関連記事

  1. なぜあなたは論文が書けないのか
  2. 生体分子反応を制御する: 化学的手法による機構と反応場の解明
  3. Modern Method of Organic Synthes…
  4. Reaction and Synthesis: In the O…
  5. カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの?
  6. 集積型金属錯体
  7. Side Reactions in Organic Synthe…
  8. 有機機能材料 基礎から応用まで

注目情報

ピックアップ記事

  1. マクドナルドなど9社を提訴、発がん性物質の警告表示求め=カリフォルニア州
  2. E値 Environmental(E)-factor
  3. コーリー・バクシ・柴田還元 Corey-Bakshi-Shibata (CBS) Reduction
  4. ベンジャミン・フランクリンメダル―受賞化学者一覧
  5. ドイツのマックス・プランク研究所をご存じですか
  6. 2007年文化勲章・文化功労者決定
  7. ホストとゲスト?
  8. 「天然物ケミカルバイオロジー分子標的と活性制御シンポジウム」に参加してきました
  9. 化学CMアップデート
  10. 肺がん治療薬イレッサ「使用制限の必要なし」 厚労省検討会

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

世界初の金属反応剤の単離!高いE選択性を示すWeinrebアミド型Horner–Wadsworth–Emmons反応の開発

第636回のスポットライトリサーチは、東京理科大学 理学部第一部(椎名研究室)の村田貴嗣 助教と博士…

2024 CAS Future Leaders Program 参加者インタビュー ~世界中の同世代の化学者たちとかけがえのない繋がりを作りたいと思いませんか?~

CAS Future Leaders プログラムとは、アメリカ化学会 (the American C…

第50回Vシンポ「生物活性分子をデザインする潜在空間分子設計」を開催します!

第50回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!2020年コロナウイルスパンデミッ…

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP