昨年紹介しました Reaction plus の新バージョンが出ました。
その名も
「Reaction plus pro」
前バージョンに比べて大幅に性能アップしており、非常に強力な計算ツールとなっております。
これまで反応経路を求めるには 経験と 勘が必要とされ、特に肝となる遷移状態(TS)構造の最適化には大変な苦労を強いられることが常でした。また、せっかくTSが求まっても、振動解析してみると反応とは全然関係ないTSだったり、TSからIRC計算が上手く走らず、結局反応経路が求まらないというケースもよくありました。
Reaction plus Proは「研究者のセンス」と「シミュレーション技術」をうまく活用したソフトウェアです。反応物と生成物と指定するだけで自動的に反応経路が求まります。
Proは従来のReaction plusに比べ、大幅にスピードアップ。多くの反応系で4倍以上の速度で反応経路が得られるようになりました。また、量子化学計算エンジンにGaussianを採用したことで、さまざまな量子化学計算条件(DFT汎関数、基底関数、PCM溶媒効果など)に対応。そのほか、路線検索のように経由する中間構造を複数指定することもでき、複雑な反応も手軽に扱えます。
Reaction Plus 自体については前回の記事を読んで頂くことにして、ここからは実際に Reaction Plus Pro を使用した筆者が、全バージョンから改善されたと感じた点について紹介します。
高速化
今回のバージョンアップでの一番の注目ポイントは、何と言っても計算速度ではないでしょうか。
前バージョンのReaction Plusでは、NWchemを裏で動かしていたため計算速度が遅かったのですが、今回のバージョンから Gaussian が裏で動くようになったため、非常に速くなりました。
公式HPでは 4 倍位以上の速さと書いてありますが、筆者が使った感じでは計算速度は 10 倍程度速くなり、計算を待つ間に感じるストレスは 100 分の1 程度になりました。
豊富な計算手法
前バージョンの Reaction Plus では、数種の DFT 計算と基底関数のみしか使えず制限が大きかったのですが、今回のバージョンからはGaussian で使用可能な全ての計算手法が使えるようになりました。DFT 以外にも PM6、HF、MP2 など様々なものが使えます!!基底関数も Pople 系だけでなく Gaussian で動くものであれば何でも使えるようになりました。
input ファイルの簡略化
前回までは、input ファイル作成時に出発物と生成物の座標軸をあわせる必要がありました。難しい操作ではないのですが、すこし面倒でした。今回のReaction Plus Pro では FItAxis というキーワードを指定することにより、自動で座標軸を合わせてくれます。
(この素晴らしい機能はデフォルトにして良いのではと思いますが。。。)
String 法消滅
前バージョンでは、NEB 法と String 法の 2 種類があり、2つの使い分けは少々面倒でした。しかし、今回のバージョンから NEB 法に一本化されました。全てがシンプルになり、直感だけで操作できる感じになってきました。
キャンペーン中
Reaction Plus は 1 ヶ月の評価期間の後に購入することができます。
また、現在キャンペーン中のため、3月31日までに HPC Systems さんからReaction Plus Pro を購入しますと計算機が一台ついてきます!
反応機構に興味があるという方は、とりあえず評価版から始めてみては???