今年も残すところ数日となりました。本年も本ウェブサイトを通じて多くの方々にお世話になりました。はじめに心より御礼申し上げます。
さて、今年を振り返るのは、ケムステニュースに後日公開の記事で行うこととしまして、毎年恒例である、拙ブログ「化学者のつぶやき」の人気記事ランキングを紹介しましょう(これまでのランキングはこちら)。
今年は新たな試みとして超若手研究者の研究・人となりにフォーカスしたスポットライトリサーチを始めました。
今年公開した「化学者のつぶやき」の記事数は203記事。昨年はちょうど150記事でしたので、50記事以上の増加となりました。
さて、どんな記事が人気を集めたのか?いきなり1位からみていきましょう。
2015年ケムステ人気記事ランキング発表!
1位は毎年恒例の、ノーベル賞関連の記事。予想記事に加えて、Facebookを使った予想投票も行いましたが、全員見事大外れ。予想的中者に当たる商品も来年へキャリーオーバーとなりました。今年の化学賞は?というと皆さん、「大村先生!」と答えるのですが、それは生理学・医学賞。ノーベル化学賞は生化学で必ず勉強する「DNA修復機構の解明」への貢献で、スウェーデン、トマス・リンダール博士、米国ポール・モドリッチ博士、トルコ出身のアジズ・サンジャル博士の3氏が受賞しました。
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2位はペロブスカイト太陽電池。2009年に桐蔭横浜大学 宮坂力教授らのチームにより発見された日本初の新しい太陽電池です。「ペロブスカイト構造」は工学系の化学ならば学部でも習うよく知られたもの。「塗るだけで太陽電池になる」という単純なコンセプトで一躍世界の最注目研究へと躍り出ました。現在(2015年12月)の最高変換効率は21.5%(東大・瀬川教授)。来年も多くの関連研究が報告されそうな予感ですね。
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3位は化学者にはなくてはならないツール「ChemDraw(ChemBioDraw)」の使い方に関する記事。化学関連のソフトウェアのHow toモノはほとんどないため、毎回人気となります。すでに、本記事以外にも3つの記事を執筆しており、今後シリーズ化して続編を書いていきたいと思っています。美しく化学構造式を書きたい人はこちらのまとめでぜひ学んでみてください。
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論文チェックと文献管理にお困りの方へ:私が実際に行っている方法を教えます!
4位は文献管理の手法。効率的な文献管理は仕事の効率を大幅に高めることができます。筆者が好きな文献管理ソフトは記事でも紹介されているPapers。これがなければ、論文執筆・閲覧にかなりの支障がでるところです。文献管理ソフトにもいろいろなものがありますので、自身にあったものをみつけて年末は効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
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5位は一般的にも注目されている材料である「炭素繊維」について。新材料の利点を鉄とアルミという、最も活躍している金属材料と比較して記載しています。今回人気ランキングにランクインした記事は後編ですので、前編からお楽しみ下さい。
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化学研究ライフハック :RSSリーダーで新着情報をチェック!2015年版
6位はケムステではお馴染みのシリーズ記事、「化学研究ライフハック」から。過去に執筆したRSSリーダーで新着情報をチェックする記事の2015年改訂版です。新着論文のチェックも現代の化学者にはサラッとこなしていきたいところですね。
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7位は最新研究から。拙論文で申し訳ございませんが、スタッフがしっかりと紹介してくれました。非常に単純な分子であることから様々なところで紹介されました。最新研究の記事は人気ランキングにはあまり入りませんが、新しい化学の潮流をつくるような刺激的な研究はこれからも紹介していきたいと思います。
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8位も最新化学研究から。イリノイ大学・Martin Burke教授のグループによって報告された自動合成装置による複雑分子合成です。ペプチド合成のように分子を組み立てることができたら…その第一歩となる合成を自身で開発した反応をうまく使って達成したことにより人気を集めました。
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9位は実験室で必須の備品「ワイプ」の話。キムワイプが圧倒的に有名ですが、キムワイプよりも安価で高性能な「プロワイプ」を紹介しました。もちろんキムワイプに比べて新参者ですが、ユーザーならば高性能かつ安価であるほうがよいですよね。さらにプロワイプは国産品。こんな実験に使える細かな備品について、今後も紹介していきたいと思います。
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さて、最後の10位は、現在では誰もが使っているLINEのお話。その中で使われている「スタンプ」は言葉で伝えにくい感情でも簡単に表現できる、非常に便利な機能ですね。ちなみに私は「自分ツッコミくま」というスタンプを愛用しています。この記事は科学系スタンプを紹介した記事になります。こういう軽い話題も時には配信していきたいと思います。
2016年もよろしくお願い致します!
いかがでしたでしょうか。ちなみに毎年ランキングで紹介しているのは「今年」公開された「化学者のつぶやき」に関する記事の閲覧数で順位をつけています(閲覧数カウントは2014年11月より)。そのため、過去に紹介された全コンテンツの記事となると少し状況が変わります。
トップ3はなぜ青色LEDがノーベル賞なのか?ー基礎的な研究背景編、グリニャール反応 Grignard Reaction、シリル系保護基 Silyl Protective Groupと有機合成反応データベースから2件もランクインしています。基礎的な反応をインターネットで調べることが多いからでしょうか。
それでは本年も大変お世話になりました。スタッフ一同、益々面白い記事を書いていきたいと思いますので、2016年もケムステをよろしくお願いいたします!