[スポンサーリンク]

一般的な話題

Macユーザに朗報?ChemDrawバージョンアップ

[スポンサーリンク]

 

世界共通、構造式を使う人なら知らない人はいないChemDraw。はじまりはMacからでしたが、一時期のMacの低迷により、3D表示するChem3Dも使えなくなりました。さらに追い打ちをかけるようにMacOSが現OSのSnow Leopardになってからというもの、現バージョンへのWordのコピーアンドペーストの不具合、Keynoteにコピー出来ないなど様々な問題がでてきました。まさにChemDrawを販売しているCambridgesoft(ChemDrawの制作会社)はMacユーザーを捨てたのか!?と言わんばかりの状況でした。その後すぐにマイナーアップデート版(バージョン12.01)が出されて事無きを得ましたが、残念ながら

 

最新版WordにKeynoteに貼るとコピーアンドペーストすると構造式情報が消える。つまりChemDrawに戻せない。

 

という致命的な欠点は消えないままでした。現在のAppleの躍進はいうまではなく、そんなものちょいちょいと治して欲しいものですが(勝手な話でスミマセン)、なかなかうまくいかないようです。
それでも筆者もその一人ですがMacの素敵なプレゼンテーションソフト、KeyNoteを使いたいという人は多いようです。そういうわけで現実は、ご存知であると思いますがKeynoteを使いたい場合、そのままKeyNoteに貼って、ChemDrawファイルを同じように保存しておくか、PowerPoint2004に貼りつけてそれをKeynoteで読み込むことによってようやくKeyNoteに構造式情報を残せるようになります。Wordの場合はWord2008ではなくWord2004を使えば今まで通り利用可能です。

さて本題に入りまして、たまたまCambridgesoftが基礎有機化学討論会の企業出展ブースにいたためそれについて聞いてみたところ、

9月中にアップデートされます!問題解消されます!

と力強く(実際はかなり弱気)いってくださいました。その後ChemDrawのダウンロードサイトを訪問したところ、なんと最新版12.02がアップされているではありませんか!(上記図)
ウキウキして、ダウンロードしてみました。

….この後読んでもらう人に申し訳ないので結果を先にいいます。結果は×。上記の問題は解消されませんでした。それでも良い方は最後に小ネタも含んでいるのでこの後もどうぞ。

【追記2010.10.28】Preferencesのところにある[Add PDF to Cripboad]にチェックをするとChemDrawからKeynoteは相互変換可能(KeynoteからChemDrawに構造式情報が戻せる)ようになっていたようです。当初試したときは駄目だったのですが。これで結果は△になりました。あとはWordだけですね!

 

DownloadサイトにGo!

ダウンロードサイトにアクセスします。その後、ChemBioDraw Ultra 12.0.2Mac Download File (130 MB) をクリックしてChemDrawをダウンロードしてください。こんなマイナーアップグレードでも全部入れなおさなければいけません。通常10分程度かかります。また、ダウンロード後に新規インストール扱いなのでシリアルナンバー等が再び必要となります。それはMy Accountにログインすることで確認することができます。*(My Accountにアクセスするためには自身のID(メールアドレス)とパスワードが必要です。)

*MyAccountの右カラムメニュー Servicesの中の[My Download]で確認できます。

インストール!起動!

今までと全く同じです。何度か更新しすぎて著者のMacにはChemDrawアイコンがたくさんありました。起動は[アプリケーション]メニューから行ってください。Docsから行うと12.0のままです。起動の際に12.02と表示されるか、12.0のままかで判断することができます。インストールも終わり起動してみました!

 

….あれ?

何も変わっていない….。WordもKeynoteにも貼ってみましたが構造式情報が失われChemDrawに戻せません。ああそうか、Keynoteに構造式情報がなくなっても無理やり直接コピーするためにFile -> Preferencesのところにある[Add PDF to Cripboad]にチェックを入れているからかな?と思いそれを外し、貼りつけてみたところ、かなり大きくなりましたが、今までとは異なりバグらず貼り付けることができました。期待してそれをコピーしてChemDrawに戻したのですが、これもダメ。構造式情報が失われてしまいます。Word2008でもダメでした。

2010-09-11_1054.png
チーン…終了。

むしろ何がかわっているのか教えていただきたいところです。慌ててサポートページで変更点を探してみました。

 

駄目ジャン!!
実際は[Add PDF to Cripboad]仕様にしなくても、Keynoteに貼れる程度ということでした。構造式情報を無視してプレゼンテーションファイルを作成している方には、いくらPDFにしても構造式がおかしくなる時がたまにあったので、それが解消されたのかもしれません(わかりません)。いや本当に残念です。後々を期待したいのですが、望みはしばらくまだうすいと思います。
Windows版もアップされていますがなにがかわっているのでしょうね。誰か教えてください。

というわけで、うれしいオチとなりませんでした。その後もう一度Cambridgesoftに問いただしてみたところ、やはりまだのようでご意見を反映できるように努力するとのことでした。残念!その代わりといってはなんですが、カフェインの構造式が書いてあるTシャツをいただきました(苦笑)。ちなみにCambridgesoftは日本の学会にブースを出すのは今回がはじめてだったそうです。

ところで、沈んでいるMacユーザーに小ネタをひとつ。ChemDrawって誰が作ったのかしっていますか?答えは1986年Stewart Rubensteinというハーバード大学の院生です。彼はCorey研究室の在籍時にこの便利なソフトを開発しました。本当かどうかしりませんが、研究ではなくてこの開発でPh.Dをとったという噂もあります。研究者がどうしても必要としていた構造式作成ソフト。こんな形で化学に貢献できるのも大変素晴らしいと思います。

アップデートの件についてはCambridgesoftはツイッターアカウントも持っているので(@CambridgeSoft)フォローして気長に待つことにしましょう…. もしかしたらChemDraw以外の対応ソフトが現れる予感。詳細は次回にて!

 

関連リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 鉄錯体による触媒的窒素固定のおはなし-1
  2. 結晶構造に基づいた酵素機能の解明ーロバスタチン生合成に関わる還元…
  3. 究極のエネルギーキャリアきたる?!
  4. セブンシスターズについて② ~世を統べる資源会社~
  5. 第3の生命鎖、糖鎖の意味を解明する!【ケムステ×Hey!Labo…
  6. アステラス病態代謝研究会 2019年度助成募集
  7. アルコールのカップリング、NHC塩がアルとおコール
  8. 酸と塩基のつとめを個別に完遂した反応触媒

注目情報

ピックアップ記事

  1. コロナウイルス関連記事 まとめ
  2. ケムステが文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました
  3. English for Writing Research Papers
  4. 「糖化学ノックイン」領域紹介PVを制作頂きました!
  5. 理論化学と実験科学の協奏で解き明かしたブラシラン型骨格生合成の謎
  6. シロアリの女王フェロモンの特定に成功
  7. マシュー・ゴーント Matthew J. Gaunt
  8. オペレーションはイノベーションの夢を見るか? その3+まとめ
  9. マット・フランシス Matthew B. Francis
  10. 【書籍】機器分析ハンドブック1 有機・分光分析編

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観測

第639回のスポットライトリサーチは、東京科学大学理学院化学系(前田研究室)の岡崎 めぐみ 助教にお…

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー