このノーベル賞発表前には、海の向こうで組織・個人を問わず、銘銘の予想が打ち出されてくるものですが、今年の化学賞についてはなんと、化学系ブログChemBarkによってオリジナルな予想が既に公表されています(オッズ付き!)。
この予想はかなり幅広い分野をカバーしているので、参考までに紹介してみましょう。
分光分析・レーザーの応用: Zare/Moerner
核内ホルモンシグナル過程: Chambon/Evans/Jensen
遷移金属触媒によるクロスカップリング反応: Suzuki/Heck/Sonogashira/Tsuji
生物無機化学: Gray/Lippard/Holm
電気化学・電子移動化学: Bard/Hush/Gray
DNA合成技術: Caruthers/Hood
ゲノミクスに関する技術と器具開発: Venter
生体膜のベシクル:, Rothman/Schekman
遺伝子認識に関する分子レベルの研究: Ptashne
コンビナトリアル化学・多様性指向型合成: Schreiber
太陽電池: Gratzel
生体色素: Battersby
出生制御ピルの開発: Djerassi
NMR分光分析の応用: Pines/Roberts/McConnell
ケミカルバイオロジーの発展: Schultz/Schreiber
自己集積化学: Whitesides/Nuzzo/Stang
分子モデリングおよび各種応用 Karplus/Houk/Schleyer/Miller
小さなRNAによる制御機構の研究: Ambros/Baulcombe/Ruvkun
真核細胞のRNAポリメラーゼ: Roeder
メカニカル結合およびその応用: Sauvage/Stoddart
生物および有機分子触媒 List/Lerner/Barbas
有機合成化学: Evans/Danishefsky/Nicolaou/Ley/Trost/Stork/Wender/Kishi
機械的酵素学: Walsh
フルオロカーボン: DuPont/Curran
高分子化学: Matyjaszewski/Langer
有機物の立体化学の理解: Mislow
組織工学: Langer
生物有機化学への貢献: Breslow/Eschenmoser
ナノテクノロジー: Lieber/Whitesides/Alivisatos/Mirkin/Seeman
デンドリマー: Frechet/Tomalia
宇宙化学: Oka
ゼオライト: Flanigan
分子認識: Dervan
分子マシン: Stoddart/Tour
当然ながらそうそうたる大物メンバーばかりですね。
ZareやGray、Gratzelなどは分野外の筆者ですら名前を耳にし、何度となくノーベル賞候補として取り上げられている世界的化学者です。
組織工学のLangerなど、いくつかの分野は「これは化学なのか?」とも思えるチョイスもあり、その辺りはやや微妙です。しかし昨今の傾向からして、こういったものでも化学として受賞すること、ありえなくはないかもしれません。
ところでケムステでも、2007年・2009年の2回ほど、大々的なノーベル化学賞予想を行なってきました。
ピンポイントでズバリ的中、というわけにはいかず予想の難しさを痛感するばかりですが、候補を後で見直してみると、ノーベル化学賞に選出されたのはなんと2つも(!)あったりします(リボソームの構造決定と表面化学)。
意外とニアミスが多いのかも。本命ぽい人たちを数種押さえて解説を付記しておくだけでも、当たってくれたりするのかも知れませんね・・・。
ノーベル賞は年間最大の学術イベントですが、日本国内では予想合戦がそこまで盛んでは無いようです。
そこで提案なのですが、今年は皆さん自身のブログやTwitterを使って、ノーベル賞受賞者を予測・提案しあってみるというのはどうでしょう?
特にTwitterは迅速な情報交換に有益なメディア。本命・ダークホース、なんでもござれ、いろんな案がでてくると素晴らしいですね。
タグは是非#sci_onで! どんな予想が飛び出すか、筆者も楽しみにしていたいと思います。
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