Wordで英語の論文を書く時、困った、気になったことはないですか?そう、スペルミスではなくとも化学の用語というのは、Wordにとっては”誤り”なことが多いのです。ですから、赤いアンダーラインが引かれてしまいますね。ここ間違っているよと。通常のタイプミスも意外にあるので、この機能を消す訳にはいかず、化学の論文は最終的に間違いだらけになってしまいます。さらには本当の間違いがそれらに埋もれてしまったり。。そうならないように、1つ1つ単語登録していく訳ですが、意外に面倒くさい作業です。少なくとも、Wordの化学辞書があれば、こういう作業が少しでも減らせるのに、といつも思いますね。いや、ネットには結構いいものがあるのです。
Chemistry Blogというサイトで紹介されていました。サイトのStaff Bloggersの一人であり、有機合成化学を専攻している博士課程の学生であるAzmana氏も同じようなことを考えていて、自分で作ってしまったそうです。すばらしい!そしてご苦労様なことです。
登録単語はなんと約10万語!
試しにいくつかコピーアンドペーストしてみます。
ethyldihydrofuro
ethyldihydroxyborane
ethyldiisobutyl
ethyldiisopropyl
ethyldiisopropylamine
ethyldimethyl
ethyldimethylamine
ethyldimethylaminopropyl
ethyldimethylammoniophenyl
ethyldimethylammonium
ethyldimethylanthracene
ethyldimethylbenzene
ethyldimethylbenzoquinone
ethyldimethylbenzyne
ethyldimethylbutane
ethyldimethylbutene
ethyldimethylbutyne
ethyldimethylcarbazole
ethyldimethylcarbinol
ethyldimethylchlorosilane
ethyldimethylcyclobutane
こんな感じで、10万語登録してあります。実際にワード辞書に登録してみましたが、すこぶる快調で確かに赤い線がかなりの割合、具体的にいえば8割近く消えました。作者自身が有機化学が専門であるため、有機化学者には特に便利なようです。
使い方は簡単。辞書(Zipファイル)をダウンロードした後に、そのファイルを解凍し、install.txtに従い辞書ファイルをWordの辞書に追加するだけです。追記:ちなみに筆者はそのままつかえませんでした[環境:Word2004 for Mac]。どうやらフォーマットがUTF-16であり日本語Wordで辞書として使うには日本語(MacOS)フォーマットでなければならないようです。そこで、ChemdicMac.dicをWordで開き、フォーマットをスペルチェック辞書で保存しました。その後、筆者の場合はユーザー名:ライブラリ:Preferences:Microsoftにあるまだカスタム辞書(Custom Dictionary)が空であったので、そのファイルを削除しそれと、名前をCustom Dictionary(拡張子は無し)と置き換え、そのフォルダにおきました。よいやり方ではないと思いますが、正常に動いています。
ちなみに配布自由(Creative Commons Attribution 3.0 License)であるということなので、ケムステでも配布します。改変等は禁止されています。
辞書はこちら→ chem-dic.zip(作者:Azmana氏1.5MB)
このChemistry Blogというブログは10人ほどの化学者ブロガーによって作成されていて、いつもなかなかおもしろい情報を送っています。おすすめですので、ぜひご覧ください!
- 関連リンク
On making a chemistry dictionary (Or: Why Excel and Macros are awesome)